合奏の音の出し方

2023年4月16日 / 最終更新日 : 2023年4月17日辻有里香

◎発表会まであと２週間

発表会は、そこに至るまでの道のりが大事だというのは、何度もここで書いていますが、今回もまさにその通りだなと思って、生徒たちをみています。

今回は、曲が多く、中級レベルの曲を多く設定しました。なんで、そんなことしたんだっけ？と思い起こすと、コロナで舞台に乗る人数の制限があった場合、たくさんの人が発表会に出られるようにということで、今回の企画を始めたので、曲がたくさんになっていたんだなというのを、生徒さんと話しながら思い出しました。

もう、今は通常通りになっているのですが、企画したときは、隣の席と２メーターとか、そんな事を考えて、生徒さんにこの会場だったら、何人乗れるかとか、計算してもらったのでした。

いつもは、なのでもっと曲も少なく、一曲一曲に時間を割いて、深く掘り下げられたのに、今回はどれもこれも時間切れみたいな感覚になっています。まあ、コロナでこれだけ毎回人数が集まって練習できたのですから、良しとしないといけません。

遠くから通うはずだった生徒さんも、かなり戦々恐々と東京まで来てくださり、地方で「東京まで行く」というのは、かなり近所の目もあって、大変だったと思います。頑張ってくださって、そして無事に今まで過ごせて、本当に良かったと練習を振り返って思っています。

ようやく、ここまで来ました。長い長い前回の本番から、３年８ヶ月の道のりでした。

◎音の出し方が変わってきました

初級クラスの曲は、ほぼ初級の生徒たち。トップとその界隈にベテランの生徒さんが座るというメンバーでやっていきます。

初回の練習で音を出したときは、本当に凄まじい音でした。笑）どういう風に凄まじいかというと、みんな自分のことしか考えてない音で、ぎゃーぎゃー弾いていました。多分、こんな大人数で弾いたことがないので、自分の音が聞こえなくて、もっと出さないと、自分がどんな音出してるかわからないという不安から、ギャーギャー叫ぶように弾くんだと思います。ちょうど幼稚園や小学校で、私の話きいて〜って皆で違う話を喋り始めるような合奏でした。

レッスンでは、ひとりひとりに、合奏で出す音はどんな音なのかをレッスンで説明しています。他人の音が聞こえてるかどうか、その生徒の音の出し方で、だいたいわかります。

私がよく言うのは、自分の音の向こうから、相手の音が聞こえてくるような音で弾いてね。和紙の向こうから、光が透かして見えるような感じ。自分が弾いてるときに、ちょっとでいいから、相手のことを思いやって。「気を向ける」くらいでいいから。この人どうやって弾いてるかな？くらいでいい。合わせようと思わなくても、その人のことに気を向けるだけで、何をしたいかわかるよ。というようなことを、丁寧に説明すると、子どもたちって、本当に素直だし健気ですよね。すっと音が変わるんです。

今まで中々変われなかった生徒が、音のセンスをつかんで、一瞬大人の音になって、「ああ、この子私が言ったことが今わかったんだな」という瞬間があって、本当にレッスンで幸せです。

音色だけじゃなく、音の変化ができるようになったり。ブザーみたいな音じゃなくて、変化がある音がほしいとか、次へ向か様な音がほしいとか、子どもにも容赦しないで求めると、ちゃんと答えてくれるんですよね。子どもの可能性ってすごいなって思います。

なので、もう十分発表会を企画した意義があったなと思っています。

先日は、レッスンで色々求めていると、「先生みたいな大人の楽器じゃないから、それはできない！」と言われました。笑笑）確かに、変化がつけにくい楽器ってありますよね。すごくないですか。楽器の良し悪しまでわかってきたんだなと思って、すごく嬉しかったです。きっと、今度のサイズアップで、こういう事ができる楽器が欲しいとか、こんな感じの音が出る楽器が欲しいとイメージしながら、好きな楽器を選定するんじゃないでしょうか。おうちの人は、戦々恐々としているかと思いますが・・・。笑）

仕事でもないし、学校の成績にも、会社の査定にも何の関係もないですが、みんな必死に頑張っています。そういう生徒たちと音楽を本気でできることが、とても幸せです。もう十分意義があったといいながらも、できれば、最後は幸せな結末を迎えさせたいと思っています。最後まで諦めずに、是非自分ができる限界に挑んでほしいです。みんな、がんばろうね！

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