3冊コンプリート『ロマン派の音楽』:アントニーバートン著
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皆様またもやご無沙汰しております。ご無沙汰している間に、楽譜を買い漁ったり、書籍を買ったり、積んどいたものを読んだり。アントニー=バートンのこのシリーズが出たので、読んでみました。『バロック音楽』や『古典派の音楽』も、だいぶ前に読んだのでまた読み返したいところです。
並べると色もきれいですね!
3冊とも 「歴史的背景と演奏習慣」という副題がついています。弦楽器奏者にとってロマン派の大事件は、1785年にトゥルト(トルテ)の弓が出現したことではないでしょうか。普及までにはかなり時間がかかりますが、19世紀初期は、様々な弓が共存していたらしいのです。
ロマン派の演奏上の特色を知れば、自ずとそれ以前の特色も把握できるのかなと思い、ボウイングのところは一生懸命読みました。トゥルトの出現でできるようになったことは、「ロマン派作曲家たちのいっそう長い旋律線に合うように、もっとふくよかでカンタービレなスタイルが強調されるようになった」P.84
具体的には1)長いフレーズの処理、2)多様なアーティキュレーションの発展(スラーと替え弓の組み合わせなど) 3)即座のアタック 4)スフォルツアンドの効果 5)弓の先端での短いマルトレ 6)マルトレストロークの連続(ボウイングスタッカとのこと?)7)スピッカート(切り離すというイタリア語で弓中央で跳躍させる)8)ソティエ(フランス語の跳ねるという意味で弓の中央部分を速いテンポで跳ね上げる)9)リコシェ(石が水面を跳ねて飛ぶという動詞、一音ずつ弓を跳ねさせながら速い反復の下げ弓)10)強拍を下げ弓でという規則が厳格に守られなくなった。(多少は合った)なぜならダウンもアップもほぼ均等な重さが乗せられるようになった 11)付点8分音符と16分音符の組み合わせの時に、タックト・インと言って2音ずつダウンダウン アップアップと弾くことが多くなった。2音目の短い音は手首の穏やかな動きで弾いた。
だそうです。ということは、バロックボウでは上記のことはできなかったということですよね。だからバロック時代の曲をモダンボウで弾く時に使っちゃいけないということもないのでしょうが、よりバロックらしく弾きたければ、やっぱりバロックボウなのかな。などともやもやと考えています。この時代は丸点のスタッカートは、スピッカートやソティエのような軽いボウイングで、縦線のスタッカートはマルトレのような強いボウイングだったのではとも言われているそうです。バッハをマルトレで弾くということは、たぶんなかったということですよね。なぜならその時代のバロックボウではできなかったので。バッハが生きてる頃に、トルテの弓は出現してなかったわけですし。
イブラギモヴァの様な若い演奏家が、モダン楽器とピリオド楽器を使い分けたいと自然に思う気持ちも、何となくこの本を読んでわかりました。昔、たいていリサイタルの一曲目に、ヘンデルのソナタとか、ちょっと古いものを弾いたりする演奏家多かったですが、最近の演奏家はそういう曲並べなくなったように思います。モダン楽器でリサイタルするからには、バルトークとかイザイとかそういう楽器に似合う曲を弾きたくなるんでしょうね。ジャニーヌ・ヤンセンのプログラムにも、そういう傾向がありました。時代は進むんだなあ。
1782年という年号を元に、この作曲はどの弓だったんだろうと、ネットで色々調べては楽しんでいます。パガニーニの絵は、モダンボウのように見えますね。
また面白い本を読んだらご紹介したいと思います。
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