正しいフォームってなに?
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最近バイオリンのフォームとか弓の持ち方って、どれが正しいんだろう?ということを考える機会がありました。フィンガリングだって、先生によって演奏する人によって全然ちがうし、ボウイングのアップダウンもちがいます。フォームも肩当てひとつとってもいいとか悪いとか。「正しい」という言葉に語弊があるとしたら「より良い」フォームとはどうやって選択していけばいいのだろうということです。
フォームを一からやり直しって私は何十回もやってきました。東京に出てきて新しく先生についたらまたやり直し。卒業してちがう先生についたらまたやり直し。誰についたかってプロフィールに書くほどの期間もついてない先生もたくさんいて、その度にやりなおし。(笑)で、一番音楽に近づけるフォームに最近なれたと思っています。でも、たぶんまたやり直しの部分が沢山出てくるんだろうなと思うんですが、今が一番バイオリンを弾いてて楽しいフォームです。なぜなら、心に流れてる音楽を一番再表現しやすいので。まあ、うまいかどうかはさておいて。(笑)
で、私のこの紆余曲折のレッスン歴の中で学んだことがあります。それは、フォームって「伝説」でそうなってるフォームと、体の構造にそってやったらこうなるだろうというフォームが存在するってことです。伝説のフォームというのは、その先生が「私はこう習ったから」という説明がつきます。体の構造に沿ったフォームは、まさにそうだよねという説明がちゃんとついています。で、こうすると音楽表現に役に立つよねという風につながっていきます。
一からやり直したことはたっくさんあるのですが、一番私がそうかって思ったことが「弓の持ち方」。「腕は脱力して腕の重さを全部乗せると立派な音が出る」という伝説を信じていたこともありました。腕の重さ全部かけたら、汚くて仕方がないですよね。脱力は大事ですが、その脱力は関節をうまく使うために脱力するのであって、弓は決して乗せ過ぎないというのが、音楽表現に役立つ持ち方のように今は思っています。ていうか、大きい音も、小さい音も出ないと困りますよね!今の弓の持ち方は一番それが可能です。まあどうもてばいいのかは、レッスンにて。先生に教えていただいたことを、ここでペラペラ載せるのも恐縮なので。
私は一からやり直しって大好きなんですが、よく外国に留学したら全然ちがうフォームになって、一体どう弾いたらいいかわからなくなってノイローゼ気味になって帰ってきたとか聞きます。やっぱり一からやり直すって大変ですよね。私も他から移って来た生徒さんには、一体どうしようかと途方にくれることも多いです。その人自体がフォームの改良を望まないこともありますし。以前の先生をやめないで、こちらにもレッスンにいらっしゃるという方もたまにいらして、そういう時は仲々そういう踏み込んだところのレッスンは難しいと思います。
フォームって考えると、技術的なことだけについ気持ちが行ってしまいますが、技術って結局音楽をうまく表現するために使うものなので、悩んだら「音楽」に立ち戻ればいいんだと思います。そのフォームで弾いた時に、音楽とかけ離れてたらやっぱり疑問を持ったほうがいいし、美しい音とかけ離れてたら、どうしてかな?と疑念を持つことが大事なんだなと。
この前ご紹介した本「楽譜の向こう側」のあとがきにあったように、日本独特の教育ってたくさんあるだろうなと推察します。学生の頃に「日本人の音楽教育」という本が出版されて話題になったことがありますが、時々これはどうしてこうした方がいいんだったけ?って自分に問いなおすことが大事だよなと思います。日本特有の伝説?それとも、音楽表現に大事な改良なのか?そのためにいい音楽センスが必要ですね。今在籍中の大人の生徒さん子どもの生徒のご父兄たちも、音楽が好きな人が多いです。なので、伝説に惑わされたりしないで、教えたことに納得してくださる方が多いのが幸せです。これからも、「一からやり直し」を何回も繰り返して、音楽に近づいていけたらいいなと思います。
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