フライブルクバロックオーケストラ@東京公演

アンコール

約一ヶ月ぶりのお休みをいただいて、フライブルクバロックオーケストラのブランデンブルク協奏曲全曲コンサートに行ってまいりました。フライブルクバロックオーケストラについては、こちらに詳しくあります。会場は東京オペラシティーコンサートホールにて。前から三列目の上手側でした。

ほぼ満席で三階席までは見えませんでしたが、1階はお客さんがびっしりと。こんなにバロック好きが東京にはいるのかとちょっと感動しました。

ブランデンブルク協奏曲は、皆さんご存知の通り、一曲一曲編成が変わっていくので、全部通して聴いても全然飽きることがなく、最初から最後まで、次はどんな人が登場するのかわくわくしていました。ステマネのイケメンの男性も一緒にドイツから連れていらしたんでしょうね。メモ書きなんて一切見ないで、絶妙な場所に譜面台と椅子とどんどんセッティングしていくのが気持よかったです。楽譜は自分で持ち帰るように約束になっていたみたいで、時々忘れていくメンバーがいると、またそれをきれいにたたんで、そでまで運んだりして。がんばれ〜って応援しながら見ていました。(笑)

感動した場面はたっくさんあるのですが、この日私が一番好きになったメンバーは、バロックチェロをいつもにこにこして弾いている、ロマンスグレーのかっこいいおじさま。もともと、顔がにこやかなつくりなのか、それとも本当に笑っていらっしゃるのか、本当に幸せそうにチェロを弾いていらして「音を他のパートにあげる」という表現をよくするんですが、まさに音を投げかけているのが印象的でした。弦から弓をふと離した瞬間に音が向こうから降ってくるんですよね。

他のメンバー同士も、楽譜なんてみんな頭に入っていて、曲の作りもちゃんと入っていて、楽器でおしゃべりしてるみたいで、なんというか舞台上の人たちもみんな幸せ。そしてそれを聴いている私達も幸せ。そんな2時間30分でした。ジャズの人たちが、よくコールアンドレスポンスってやるけど、まさにバロックの楽器を持って、楽譜を見て、そういうことをやっている感覚でした。合奏ってこういうことをするために、みんなで一緒に演奏するんだなあとしみじみと思いました。

そしてもう一人、私がファンになったのはチェンバリスト。あの5番のチェンバロソロのカデンツアがうまくて一人で悶絶しました。(笑)チェンバロが上手とか下手とか、よくわかんないなあっていつも思っていましたが、明らかに上手かったです!

最後にテレマンのジーグをアンコールで演奏してくれましたが、ほんっとに動きのあるジグで、これぞ本場のジグかと。こういう素敵な演奏は、聴いただけでも自分が上手くなりそうです。

今回、いろんな楽器編成で聴けたことで面白い発見がありました。一番から6番という曲順だったんですが、一番大きな編成から、一番目立たないバイオリンがない編成に変わったんですね。最初耳がちょっと寂しいなと思うんですが、だんだんそのヴィオラとヴィオラ・ダ・ガンバとバロックチェロの低〜〜〜い世界に耳が慣れてくるんです。そして途中からすぐに、もうその世界に引きこまれて十分な音量に感じてくるんですよね。人間の耳の順応力にちょっとびっくりしたというか。私の中では、そうか地味な世界はその中で音楽を作っていけばいいんだという発見でした。ビオラがどんなに頑張ったって、バイオリンみたいなつんざくような音にはならないんだから、その中でいかに音楽を構成していくか考えればいいんですよね。なんかよく考えればあたりまえのことなんですが、ちょっと一人でこの発見に感動していました。

まだまだ「むむ!」と思ったことは、たっくさんあるのですが、DVDを買ってきたので、又じっくりと観直して、すばらしかった秘密はなんなのか探っていきたいと思います。まあ、純粋に感動したんだから、別に分析しなくてもいいんですけどね。(笑)

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