レッスン時間とその配分
爽やかなお天気が続いていますね、東京は意外と乾燥しているようですので、生徒の皆様楽器の取り扱い気をつけて下さいね。楽器ケース内の湿度大丈夫ですか?60%前後保てているでしょうか。
さて、今日はレッスン時間について書いてみます。大手さんだと30分レッスンが主流でしょうか?私も以前勤めていた時に30分レッスンでした。どうしても長くという方はお月謝2倍で60分。つまりお二人分お取りするという形でした。30分って短いですが要領よくやると、意外と色々できるんですよね。子どもの生徒さんもいたのでソルフェージュを5分〜10分やっていました。弾くのは15分〜20分位ですが、要点を詰め込んで次週の宿題を一緒に見ておわり。生徒さんも30分しかないってわかってるので、集中してやっていました。
いろいろできるとはいえ慌ただしいのは、慌ただしいですよね。何より教える講師側がすごく疲れます。弦が切れたので取り替えてくださいとかやっていたら、ほとんど弾かないで終わってしまったり。自分が自宅で独立するときは「40分」という枠から始めました。あと10分あれば、先生にちょっと聞いてみたいことがある質問とかできますし。
話はそれますが、どうして時間どおりきちっと終わるかというのは理由があります。まず、子どもは何分までで必ず終わると言っていたほうが、集中しやすい。次に今の都会の生徒さんたちは忙しいので、その後の予定が入っていることが多いので、ひとりでも時間通り行かないとあとの方は困ることがある。最後に、生徒さん全員を等しく扱っているという安心感が生まれることです。
以前、他の先生の話としてご父兄がされていたのですが、「約束の時間に行っても仲々前の人のレッスンが終わらず、大事な生徒さんなのか延々とレッスンをなさっていた。自分の子どものレッスンは、あっという間に終わってしまうのに。」というお話を聞いて、教える側は誰かをえこひいきしている気持ちはなくても、受講するがわからしたらそういう風に思われることもあるんだな。自分も注意しないとと思ったことがあります。なので、ケチケチしているようで申し訳ないのですが、私は時間通りに終わります。大人の生徒さんの質問、お家の方への練習の説明など必要なときも、レッスンとみなしてレッスン時間内にお願いしています。
さて、話は戻りますが「40分レッスン」からスタートして、その後「60分レッスン」と「50分レッスン」も設定しました。たった10分〜20分の差なんですが、やはり効果がありました。バイオリンが大好きとか、上手になりたいという生徒さんでしたら、自ずと練習時間も長くなるので、その分課題も増え、そしてその課題を観る時間が増えるのでレッスン時間を長くするというのが、たぶん一番イメージしやすい時間延長じゃないかと思います。
例1)うちで毎日練習するので時間延長をした生徒さんの時間配分:
音階練習(10分):フォームで気になるところ、音色、音程などここでチェックします。ポジション移動の課題もやっているときは、もう少し時間がかかります。
↓
オシャールやセブシック(5分):重音の練習や左手の練習など、ちょっとの分量をちょっとだけ。積み重ねが大事です。やってきたものをチェック。次の宿題の予習は一緒にしません。
↓
カイザーホーマンサスマンなど練習曲(15分):やってきたものをチェックしたり、音楽的に読み解いたり、技術的に問題があれば練習の仕方を指示。その後、次の課題を一緒にその場でやらせます。
↓
曲(15分):曲についての解説、読み解き、技術的に問題があれば指摘。小さい生徒には、その生徒にあった分量で細切れで与えます。そして、次の箇所を必ず一緒に譜読みします。おうちの人が音楽の造詣が深くて、教えていただけそうでも必ず私がやります。バイオリンは音が取れたらいいわけではなく、その音程を取るためにどういう考え方で指を置くのかなどが大事なので。ここは半音、ここは短6度、ここと一緒に指を取るとか、そういう弦楽器特有の譜読みの仕方があるので伝えます。
↓
ソルフェージュ(10分):練習を頑張ってる生徒さんは、ついバイオリンレッスンに時間をかけすぎてソルフェができない日もあるのですが、リズムと視唱と聴音コード聴きとりを順番にやっていきます。
これで50分レッスンになります。合奏の譜読みなどをしている時期は、ソルフェが合奏の練習に変わります。
それ以外の生徒さん。読譜につまずいている生徒さんや、家でお家の方が忙しくて練習できないという生徒さんに、レッスン延長をやっていることもあります。先生と長く練習することで、弾けるようになって、自信が湧いてきて、そのうち家でもひとりで練習できるようになってきたとご報告を受けた生徒さんもいらっしゃいます。
例2)自宅で練習ができない小さい生徒さんの時間配分:バイオリンランド1巻から何曲か復習(15分)復習しながら、手の体操や弓の持ち方を確認して、フォームを見直します。
↓
2巻の復習(15分):丸をもらった曲もすべて一回ずつ弾かせます。弾きながら、正しい音程を聞き分ける耳を養ったり、左手のフォームをチェックしたりします。
↓
新しい課題(10分):一緒に譜読みをして、新しい課題に取り組みます。先生の目の前で練習させます。右手を補助したり、一緒に歌ったり。本当だったらおうちの人と家でやることを、レッスンの中でもやってしまいます。
↓
ソルフェージュ(10分):自宅での練習が少ない生徒さんには、ソルフェージュ必須です。楽譜に触れる時間も、それだけ毎日練習する生徒さんより少ないということになるので、読譜に慣れるまで時間がかかります。必ず毎週やることで効果をあげます。音符カードの速読、リズム、視唱、聴音などをなるべく全セットやるようにしています。
ご夫婦で働いている方が都内には多く、最近は自宅で練習が思うように見てあげられないというご父兄も増えました。いや、もちろんどんなにお仕事遅くなっても、がんばって練習させているご家庭もあります。本当に頭が下がります。これからの時代、こういうある程度レッスンで練習させるというレッスン形態がこれから増えるのではないかとも思います。この50分のレッスンを、週2回やれば完璧では?と思うのですが、まあ現実はなかなかそうもいかないのですよね。
レッスンって、これやってご覧と言ってすぐできる生徒さんより、何度も試行錯誤しないとできるようにならない生徒さんの方が、レッスンの時間がかかります。レッスンのやり方にもよるのでしょうが、私の場合はある程度できるようにさせるのがレッスンだと思っているので、ちょっと希望の光が湧いてきたというところまでは、目の前でやらせます。なので、少し不器用な生徒さんのほうがレッスンに時間がかかります。なので、やる気がある生徒さん=レッスン時間が長い。という単純な図式ではないと思っています。生徒さんに合った時間があるので、もう少し長いほうがいいのか、それとも必要がないのか、それぞれ先生と相談して決める方がいいのではと思います。