バイオリンレッスンを始めたら
前回の記事でご紹介したグッズを買って、いよいよバイオリンのレッスンが始まります。先日長いこと音楽を聴く専門だった夫と話題に上ったことなのですが、バイオリンを始める人には、いろんなタイプの人がいる。例えば曲が弾ければうれしい。その内容がめちゃくちゃで音楽と程遠くても。たぶん、音楽がすごく好きな人は、「あれ?これ自分がいつもCDで聴いてる演奏とちょっと違うな。なんかつまんないな。ただ弾けても楽しくないや。」って思うんじゃない。前者の好きな曲が弾ければ楽しいという人は、自分の実力以上に難しい曲を弾いてても、それはそれでその人は楽しいに違いない。「その曲を弾く」ことに幸せを感じているから。
へえええ、なるほどと思いました。大人の生徒さんで、ものすごく音楽を聴くことが大好きな生徒さんがいらっしゃるんですが、その方が「ずっとCDはCD。自分の演奏とは別と思っていました。」とおっしゃっていて、どういうことがピンときてなかったのですが、その話ともつながって、アマチュアだから、なにか曲を弾いてるだけのアマチュアの演奏という別の分野があると、もしかしてみんな思っているのかな。と思い始めました。その生徒さんは、レッスンしててご自分の演奏が変わっていくと、ものすごく喜ばれて感動なさる、とても健全な(?)音楽好きなのですが、それは、きっと今までたくさんの聴いてきた「素敵な演奏」というものがあって、あんな風には自分は弾けるわけがないと思っていたのが、レッスンのアドバイスで、その演奏に近づくとうれしくなるという構図だと思います。
そこで、私のレッスンの方針を明確にしておかないとと思い立ちました。レッスンを始めたら、その曲をどこまで追求すべきなのでしょうか。そのお教室によっても方針は違っているとは思いますが、私の方針をお伝えしておきたいと思います。
もちろん、音程は大事だし、大きい立派な音で弾けることも大事ですが、大きい音と小さい音をどういう風に混ぜて弾くかとか、演奏し始めてからどんな風に弓のスピードや圧力が変化していくかとか、フレーズはどうするのかとか「音楽」ってそれ以上に大事だと思って教えています。じゃあ、音程はめちゃくちゃでもいいのかということにもなっていくのですが、そこの絶妙なバランス感覚が、レッスンでは大事で、時間配分とか力配分とか。音の高さと長さを揃えてレッスンは終わり。あとはもっと上手になってから教えます。では、じゃあ上手になったらっていつ?って事になります。なので私のレッスンは進度がとても遅いです。アマオケに入ったので、その補習をお願いしますという方もいらっしゃるので、そういう生徒さんにはオケの曲の指使いを教えて、リズムの間違いを正して時間終了ということになります。音楽までは到達しません。それはお互い納得の上でやっています。全員の生徒さんに、音楽まで追求というところまではいっていませんが、一般の生徒さんには、極力音楽まで近づいて終わるようにしています。なので、進度は遅くとも、音楽を教わる楽しさと厳しさを、きっと生徒さんたちは、享受しているのではと思っています。