リベラルアーツ、トークイベント行ってきました

 

菅野恵理子さんと山口周さんのトークイベントに行ってきました。『ハーバードは「音楽」で人を育てる』に続いて、第二弾 『未来の人材は「音楽」で育てる』の出版記念のイベントです。6時30分に行ったら一番乗りで、続いて女性がひとり・・・。と思ったら、どんどん人が集まって会場いっぱいになりました。

最初は著者菅野さんが、この研究を始めた経緯と、本の内容をざっくりと説明。そのあと山口さんとのトークへ。気が付かないでいきましたが、山口さんってあの山口さんなんですね。『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」』 (光文社新書)の著者の方でした。

本の要約のところは本を読めばいいとして、質疑応答を聞いて、へえ世の中の人はこういう風に考えてるのねって色々面白かったです。音楽を教えたり、特別関わりのある人からの質問は少ない様で、企業でリベラルアーツを研修の中で取り入れるには、具体的にどのようなことができるか教えてほしいとか、創造性とは一体どういうものだと思うかとか、そういう、企業に携わる人の質問が多かったです。私も時間があれば質問がひとつあったのですが、時間切れ。

この質疑応答のやりとりを聞いてて、なんか普通にうちの教室で子どもも大人もやってることがあって、意識してリベラルアーツなんて大仰に構えて教えているわけじゃないけど、もう十分リベラルアーツしてるんだなと勝手に満足して帰りました。

この日の質疑応答を聞いてて、もし企業の研修で音楽を取り入れるとしたら、どんなことができるか考えてみました。

1)もし弦楽器の経験者がいれば、弦楽合奏を一緒に練習する。

2)プロの合奏団を呼んで、音楽史的にここで時代が転換したと思われる作品を解説しながら演奏してもらう。

3)指揮者と合奏団の練習風景を見せて、レポートを書かせる。もしくは指揮者の体験をしてみる。

 

1)は、アンサンブルって社会の縮図だと常日頃思っているので、優秀な集団を作るには、合奏経験をさせるといいと思います。例えば、合奏ってみんなが隅から隅まで上手に弾けるからって、いいものができるとは限りません。そもそも20人集まって、20人が全員同じ演奏能力ということはまずないと思っていいと思います。プロだって、若い経験の浅い奏者でも指は回るしパワーあるよってメンバーと、もう年齢は行ってるけど、経験は素晴らしいものを持っているという奏者が一緒に演奏するので、素晴らしいものができます。

要するに、今自分がどうしたら集団としてよくなるかを考えられる人間を育てるのに向いてるのが、弦楽合奏です。ここはみんなが萎縮してるから自分がガンガン音出さないととか、ここは出過ぎてるから自分はかすんでおこうとか、そういうことを考えるのがパートリーダーの役割です。自分は弾けないながらも、ここは他の人に任せた方がいい。でもここは一生懸命弾こうと思うのが、後ろに座っているメンバーです。そういうのって、文字や言葉で、リーダーってそうだよねって知ってるだけより、音として体験してると断然違うと思います。

あと、人との距離感も勉強できると思います。ここはこのパートとべったり一緒。ここは聴いちゃダメ、距離をおいて自分は冷静にカウントとか、短時間の曲の中で色々な場面に遭遇できるのも音楽での合奏体験です。

でもね、弦楽合奏するまでに楽器の練習しなくちゃいけないですしね。リコーダーでアンサンブルでもいいかな。

2)は、お二人もお話されてましたけど、音楽ってこれまでいいと言われてたものが、ある時代になると時代遅れになったり、それまで信じてた様式がある時代から違うものに取り変わったり。他の科学にもあることだと思いますが、それを解説してもらいながら音楽を聴くと、理論理屈がわからなくても、ああ、そうか。新しいものが生まれて受け入れられるまで経過などが、音で一聴してわかって、創造性ってなんだろうという学びになると思います。

3)これは山口さんがマッキンゼーでやってた例としてあげてましたが、リーダーがどういうことを要求して、どういう風にその要求を伝えようとしているか、まずどのパートから作り上げていくか、その理由はどうしてかなど、観察すると会社組織作り上げる参考になるのではと思います。

組織に属したことのない人間の私が思いつくことなんてこれくらいですが、それでもこんなに音楽での学びが役に立つような気がするので、すごいなと思います。

一時期は運動経験のある企業人が重宝されていたと思うのですが、あいさつが大きな声でできるとか、先輩に対する礼儀ができているとか、企業人としてとても優秀だったからだと思います。加えて音楽経験者、それも単にこの曲を知ってます、この曲が弾けますというそういうだけの音楽経験者ではなくて、アンサンブル経験があります。集団の一員として、ただ上に従うだけじゃなくて、全体を見て自分の立ち位置がわかる人間ですとか、古の作曲家からこういうことを学んできましたという企業人が求められてる時代になったんだなと、嬉しかったです。今世界中でリベラルアーツと言われているそうです。

音楽を学ぶことが、単に子どもの忍耐や教養を育てる習い事から、子どもも大人も上記のような、人間としての生き方の気付きがある学びの場になっていくような予感がします。

菅野さんがこの研究をやっていこうというきっかけは、コンクールを仕事で聴きに行ったときに、フランス人のコンテスタントが自分よがりではないが、とても個性的な解釈で素晴らしい演奏をしていた。これはなぜだろうと思ったことだそうなのです。フランスでの歴史の教科書は、史実が並んでいるだけじゃなく、資料の認識、整理、活用といったことを実践的にさせるための質問が各ページに載っているそうです。これは一次資料なのか?二次資料か?この資料から何が読みとけるのか?などなど・・・。

フランスでは学校に音楽の授業はないと聞いたことがありますが、今でもそうなのか?そのコンテスタントがそのように育った経緯はなんだと考えますか?という質問をしてみたかったのですが、ちょっと時間切れでした。またいつかどこかでお会いできることがあったら、聞いてみたいです。

 

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