『楽譜の向こう側』独創的な演奏表現をめざして 西尾洋著
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夏休み真っ盛りですね。もう皆様東京から脱出しているかしら。いいですねえ。夏休み。楽しんできてくださいね!無事のお帰りお待ちしていますよ。
さて、レッスンは通常通り行ってはいるものの、皆様別荘に行ったり避暑に行かれたりで、空き時間も多いので、この本をちょこちょこ読んでいます。2014年発行の本で、2015年現在で第2刷。著者の西尾さんという方は、全く存じ上げませんがドイツリューベック音楽大学を卒業なさった方だそうです。
今半分読み終わったところです。かなり面白い本です。私が本を読む時に一番好きな場所は「あとがき」です。「あとがき」が文庫だとちがったりするので、あとがきのためにもう一回その本を買ったりするくらいです。で、まだ途中なのですが、あまりにおもしろいので「この方どんな人だろう」と思って、あとがきを読んでみたら、これまた感動してしまいました。要約させていただくと、
日本で早期教育をご自分が受け、大人になってドイツにいって、とてもカルチャーショックを受けた。ご自分達日本人は現地のドイツの学生よりもソルフェージュ能力が秀でている。なのに、自分たち日本人より譜読みも暗譜も遅く不器用なドイツ人の方が、心に響く強い表現を手にしていく。ドイツ人は、つねに「なぜそうなのか」と問いかける人たちで、転調したらなぜか。変奏されたなぜか。和音が変わったなぜか。そしてそれをひとつひとつ言葉で考えていく。なんとなく先生にそう習ったから、みんながそうしているから、という答えは存在しない。
そういう体験からできた本がこの本なのです。
本書の内容は、楽典の各項目を切り口とした理論的知識の説明と、演奏方法の提案です。音楽理論の勉強は、直接演奏に繋がるべきものです。和声法対位法も楽曲分析もどのように演奏すべきなのかというところまで考えなければ、ほとんど意味がありません。 p.167 引用
と、言い切っています。絶対音感の認識も誤っている。相対音感こそが表現には大事。ご自分の専門以外のことは、色んな方にご意見を伺われていらっしゃるのですが、その方がチェンバロの桒形亜樹子さんだったり。引用されてる資料が東川清一さんのだったり、かなり信頼できると思いました。私がバロックバイオリンを習い始めた時に、読んでみなさいと言われた資料もたくさん引っ張ってありました。こういう本が欲しかったんですよね。これだったら、ものすごく音楽の理論理屈を学ぶ意味もよくわかります。学ばないと怖くて一音たりとも出せないという心境になると思います。
内容はぜひ生徒さんが自分で買って、頑張って読んで欲しいです。もし、読んでも内容がよくわからなかったら、読書会なんかやってみてもいいですよね。今読んでる個所で第5章:拍子に意味がある で、一番そうだそうだ!と思った個所をご紹介します。
一般に音楽は下拍から始まるという感覚が強いように思われるが、それは不自然である。なぜなら、下拍で始まるにしても、それは準備が必要だからである。指揮者の動きを想像すれば明らかなように、一拍目を出すためには予備の動きが必ず存在する。弦楽器奏者は弓をあげ、管楽器奏者は息を吸い、来るべき下拍にそなえる。〜アウフタクトの有無にかかわらず言えることは、1拍目から始まるのではなく、1拍目に向かって運動エネルギーの連鎖で成り立っているということである。
今日丁度この部分を読んだ後だったので、生徒にもこういう視点でレッスンしてみました。ものすごく音楽が自然に流れて、洗練された演奏になりました。息吸って、弓をあげて予備動作して始めるのは、常に教えてるつもりですが、どの下拍にも向かっていく運動エネルギーがあるんだと思うと、本当に演奏がかわりますね。一箇所ちょっと疑問に思ってるところがあるのですが、もし、ご本人に質問できることがあれば、してみたいと思いますが、きっとそんな機会はないでしょう。(笑)さて、後半もじっくり読んでみたいと思います。
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