音楽が好きになる過程を考えてみた〜入門期〜
今日の東京は寒いですね!もう師走ですし、当たり前か。
先日、小さい頃からずっと教えていた生徒ちゃんが、久しぶりにレッスンに訪ねてきてくれました。当時は私も若く、出張レッスン中心で、レッスンが終わったら一軒一軒のお母さんにお茶を出してもらって、ゆっくりお茶して、さあ次。みたいな感じでのんびりやっていました。
そのお母様とは、話もよく合い聞き上手でもいらっしゃるので、私の小さい頃どういう風に音楽と向かい合ったかとか、両親の働きかけはどうだったかなど、聞いてくださっていたように思います。どうしたら、好きになって続けてくれるのかなということに重きを置いていらっしゃり、その通りに育って、今でも市民オケでバイオリンを弾いてくれている、昔小さかった生徒ちゃんと嬉しく再会しました。
私が音楽が好きになった過程って、どうだったろう?とまた思い出すきっかけになったので、メモ程度で残しておこうと思います。
私は父が音楽家だったので、正確には音楽教育家として、音楽家年鑑に名前が載ってます。今でも音楽家年鑑ってあるのかな?昔はそういうものがあったんですよ。家では、自分の意志で始めたかどうかさえはっきり覚えてないくらいからピアノを始めました。先生は父です。普段の練習は母が見ます。母は保育士と栄養士の免許を持っていて、病院で栄養士として働いていましたが、私がピアノを始めた頃には専業主婦でした。
小さい頃は家ではクラシックがかかっていましたが、父はマニアってほどの好きさ加減ではなく、普通に音楽が好き程度。音楽会には近くに有名な人が来れば連れて行かれる程度でした。ただ、弟はぐうすか寝るのに、私と姉はじっと聞き入っていて、父は弟は体を動かすほうが好きで、姉妹は音楽が好きなのかもと思ったそうです。
弟は、確かに運動がおとなになっても好きみたいで、体を動かしていい気分転換をしています。 母が言うには、姉妹には何も教えないのに聴音がすらすらできてびっくりした。本当に人間は生まれ持ったものが色々なんだなと改めて思ったそうです。
小さい頃から知らない曲の楽譜を手当たり次第読んだり、歌ったり、弾いたりするのが大好きでした。まあ、できるから好きになる。というのが第一歩なんですよね。 小さい頃の好きの第一歩は「できて楽しい」なので、是非他の子と比べたりしないで、ここができるようになった、あそこができるようになったって、周りの大人も一緒に喜んでください。
入門期は「できるようになるから好き」という時期だと思うので、是非毎日の練習も大事です。練習しないと、ずっと同じところで足踏みしていることになるので、本人もおもしろくないです。小さいながらに、何か自分が向上しているんだという実感を是非持てるよう、大人のフォローが大事だと思います。
他の人よりできるから好きという感覚は、その時はいい薬のように見えますが、この先自分より上手な人に確実に出会うわけです。それこそ巨匠の演奏なんか聴いたら、自分がバイオリンを弾くのは何の意味があるんだって感じなくらいの衝撃だと思います。なので、小さい頃から、頑張ったら、こんなに素敵な曲に巡り会えた、お友達と合わせて楽しかった、できないところができるようになった。そういう視点で音楽と付き合うように持っていってあげたいなと思っています。
あと、楽譜が読めるようになって、新しい曲との出会いが楽しいというのは、「好きになる」ことへの第一歩だったように思います。今読んでる本で『心で弾くピアノ』セイモア・バーンスタイン著 の中にも、同じようなことが書いてあって、やっぱりなと思いました。セイモア先生が図書館から、手に持てないくらいの楽譜を借りては、片っ端から弾いてみていたというエピソードに、こういう好きになり方もあるんだなあ。なるほど、私も楽しかったと自分の小さかった頃を思い出しました。
さて、このテーマは続きます。次回は高校生での衝撃の出会いです。お楽しみに〜。